カウンターに並んで、座る
向かい合うと初対面は緊張します。カウンターの並びは、黙ったときの視線の行き先ができます。
ねらい黙ったときの視線の行き先をつくる
カウンターに並んで座る初回は、失敗する気がしていました。
それまで初回は全部、向かい合わせで座っていたからです。
会話の相手は向かい合って座るものだと思っていたので、
並びの席を提案した当日は、ずっと不安でした。
実際に座ってみると、意外と普通に話せました。
むしろ、黙ったときに困らなかった。
何が起きていたか
向かい合う席は、会話のためにある席だと思います。
顔も見えるし、声も聞きやすい。二回目以降は、いちばん合っている気がします。
ただ、初対面では、その良さがそのまま負荷になります。
顔を上げれば相手の顔がある。黙ったら、黙ったことが互いに見える。
テーブルが広くても、正面は正面です。
並びの席は、その負荷が下がります。
代わりに顔が見えなさすぎて、反応が分からない。
カウンターの並びで n=9 回会ってみて分かったのは、
並びのデメリットは「顔が見えないこと」ではなくて「視線の行き先がないこと」でした。
カウンターの並びが持っているもの
テーブルの真横と、カウンターの並びは違います。
カウンターの並びには、正面に共通の眺めがあります。
酒だったり、料理を作る手元だったり、カウンターの向こうの光だったり。
黙ったときに、相手の顔から視線を外す先がある。
しかもそれは逃げ場ではなくて、二人で同じ方向を見ている、という形になります。
n=9 のうち、沈黙が気まずくならなかったのは八回くらいでした。
正面に何か動いている店では、ほぼ一度も気まずくならなかったです。
「話さなきゃ」が薄くなる席、というのがいちばん近い言い方かもしれません。
カウンターの並びで見ていること
- 正面に「動き」がある店にする。 酒を注ぐ手元、調理の手元。何か動いていると、黙っても視線が落ち着きます
- 座面の低い席にする。 高い椅子は足が浮いて、緊張のときに余計不安定になります
- 席と席の間隔を、前もって写真で確認する。 カウンターは距離が近くなりやすいので、最初から近すぎるのは逆効果でした
- 背中が通路向きでない席にする。 通る人の気配が気になると、相手が落ち着きません
予約のときに「カウンターなら、正面の見える席が嬉しいです」と一行入れておくと、たいてい通ります。
外した話
カウンターなら何でもいいと思って、間隔の狭い店を選んだことがあります。
並びの距離が近すぎて、お互い縮こまってしまいました。
反応が見えないのも相まって、これは話しづらかったです。
高い椅子の店も失敗しました。足が浮いて安定せず、余計に緊張させたと思います。
カウンターの並びが成り立つのは、間隔と高さがちゃんとしている店だけです。
同じ「カウンター」でも、店によって全然別の席になります。
間を開けたい人に
カウンターの並びは、距離が近くなりやすい席でもあります。
それは魅力でもあり、相手次第の話です。
間を開けたい人に、最初から近い席を用意するのは逆効果でした。
相手の様子で席を変えられるかどうかは、設計よりそちらを優先しています。
安全は設計より優先です。
向かい合わない席は、ひとつの設計としてあります。
初回の緊張が気になるなら、試してみる価値があると思います。